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「人妻の恋愛日記」 第37回 ☆-----------------------------------------------------★ 《一泊2日の旅行は日記を書いてないので、回想録となっています。》 10月26日(2日目) 昨夜いつのまにか眠りについたものの、幾度も目を覚ました。 あの人はぐっすり眠っていて、時折いびきさえかいている。 時計は午前9時にセットしたが、寝てられない程神経が高ぶっている。 しばらくベッドの中でじっとしていたが、我慢できずに午前8時には 彼を目覚めさせないよう注意しながらベットを抜け、身支度を始め 9時前にはいつもの化けた自分が完成した。 午前9時になり彼を起こした。 彼はベッドの中でうだうだしてたが、しばらくしてから洗面所に立った。 洗顔を一通り終え戻ってくると、 「あれ、もう、洋服に着替えちゃってたの」と言ってキスしてきた。 だが、それだけでは終わらず、彼は朝から求めてきたのだった。 「えっ、今からするの・・・」 私は洋服や髪が乱れると思ったが特に抵抗せず、されるがままにした。 部屋の窓のカーテンは開け放たれ、朝日が気持ちよい程にさし込んでいる。 洋服を着たままの私の下着だけ脱がせ彼は入り込んできた。 夕べしたばかりの私には多少痛みがあったが、我慢して彼を受け入れた。 その時、ドアを叩く音がした。 もしや、頼んでおいたモーニングサービスと思ったが 返事ができるわけもなかった。 事を終え、彼はシャワーを浴び、私は洋服と髪の乱れを直し ベッドの上の温かさと乱れを整え終えぬ間に再びドアを叩く音がした。 仕方なくそのままの状態で、モーニングサービスを部屋に入れた。 朝食を運んできたきたボーイは、それとなく察している様子だった。 そして、私と彼の関係を夫婦ではないと確信した上で、私に軽蔑の目を 向けているようにさえ感じられた。たぶん、ホテル勤務をしている人間は 多くのカップルと接するうちに自然とその関係がわかるのではなかろうか。 ホテルをチェックアウトして、ある建物を目指し歩きだした。 ふたりで話しはしているのだが、お互いの疲れを感じた。 それは、昨日から一緒にいる他人への一種の気疲れのようだった。 その有名な建物には、いろんな店があり、目的もなく見て回った。 と、ウエディングドレスが飾られている前を通りかかると 「こういうの着て式を挙げたいね。」と彼が言った。 「誰も祝福してくれないね・・・」と私。 「ふたりだけで教会で挙げてもいいじゃないか」 「私、指輪は欲しいと思っていたけれど・・・」 「指輪か・・・。カミさんとのイヤな思い出があるよ。 あいつ喧嘩するとさ、自分の言ってることに興奮してきて ヒステリックになってさ、指輪を部屋から外に投げ捨てたんだよ。 誰かに見つけられたらみっともないから俺が探してきてさ・・。」 「暗闇の中、探しに行ったんだ。大変だったでしょ。」 と言いながら、彼の探している姿を想像して可笑しさと哀れさが 心の中でいり混じった。また、彼はお気に入りのスーツを奥様に ハサミでずたずたにされたとも話した。 それらの話しを聞いた時、ありふれた夫婦喧嘩ではそこまでするとは 考えられず、彼の行動・言動に余程腹を据えかねる事があったのだと 察せられ、奥様に同じ妻の立場から同情した。その反面、夫と喧嘩らしい 喧嘩ひとつしたことのない平穏な優しい日々に流されていた私には そんな激しさが羨ましくも思えた。 また、奥様を悪く言うばかりで自分の取った行動・言動や何故彼女が そういう行動をしたのかを考えない彼の発言に狡猾さを感じていた。 しかし、離婚する時には、自分のことはさておき、相手ばかりを責める 傾向になりがちなのかもしれない。 その後、歩き疲れて、途中のベンチにふたりは腰掛けた。 彼は仕事に関しての将来の夢を語ったりしていた。 どういう心境からであったのか、私は夫と旅行に行った時に撮った プリクラを彼に見せた。彼に焼きもちをやかせたかったのかもしれない。 確かに、あの人は面白くないといった表情をした。 昼過ぎには、電車に乗り家路に向かった。 運良く座ることができ、彼は司馬遼太郎氏の「燃えよ剣」を再度読み 始めた。知り合った頃より、彼は私がその中に登場するお雪に似て いるとよく話していた。彼の気分は土方歳三だったのかもしれない。 そして私は眠りはじめ、彼の左手は私の右手を目的の駅に着くまで ずっと握っていた。時折、私が目を覚まし彼と目が合うとにっこりし 一層強く手を握るのだった。 駅に着いてからは、駅ビルの中の店で少し遅い昼食を取った。 何がキッカケだったのか奥様とお母様の話になった時、直面している 現実に引き戻されたことで彼の顔が今までの会話では見せたことの ない苦渋な表情に変わった。 奥様もお母さんもお互いの居ない時に彼にそれぞれ相手の悪口を 言うので、何とか仲良くできないものなのか・・と辛そうに話していた。 私は午後8時位まで彼と居たい気持ちがあったが、彼の 「今日は早く帰った方がいいよ。」 という言葉に彼の疲れと彼の夫に対する申し訳なさを感じ、素直に従い 午後4時過ぎには彼と別れ自宅に向かった。 家に着いた時は午後6時を回っていた。 直ぐに服を着替え化粧を落とし、この家の妻としての自分に戻っていく 時間を過ごした。 そして、帰宅してくる夫の夕食の準備に何食わぬ顔をしてとりかかった。 旅行中の写真は彼が用意してきた使い捨てカメラで撮っていた。 帰り際、何かふざけあい、これを彼から取り上げ私が現像に出した。 後に写真の一部が彼の奥様の手元に渡ることになる運命とは この時は知る由もなかった。 第38回:<どちらともよろしくやってゆきたい・・・> |



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